【絨毯のご紹介】
◆魅力と特徴、デザイン
こちらは、ペルシャ絨毯の名産地・カシャンの代表的名工房、ファッラー工房のサイン入り。総シルクで丁寧に手織りされた、まさに芸術品と呼べる逸品です。ペルシャ絨毯の中でも特に人気のあるパルメット文様の美しさを存分に楽しめる、名作といえる一枚です。
アイボリーを基調に、中央には可憐なお花のようなメダリオンが配され、周囲には繊細な唐草模様を組み合わせたパルメット文様が広がっています。シルク絨毯ならではの緻密な織りと上品な光沢が、デザインの美しさをさらに際立たせています。
カシャン産のペルシャ絨毯は、クラシックで品のある伝統的デザインが魅力で、深紅・紺青・アイボリーなどの配色が特徴。特にシルク絨毯はクム産のものが多いなか、カッシャンで織られたシルク絨毯はとても希少で、その価値は非常に高いとされています。
この絨毯には、最高級のシルク100%を贅沢に使用。シルクならではの上品な光沢と、滑らかな手触り、落ち着いた色合いの美しい調和、そして繊細な織りの細やかさが際立っています。
高級感と優雅な雰囲気は玄関敷きにもぴったりですが、手織り絨毯には毛の流れによる**「順目」「逆目」**があり、敷く向きによって色の濃淡の見え方が変わるのも大きな魅力。お部屋のアクセントとして、壁掛けや家具の前に飾るのもおすすめです。空間の印象がぐっと引き締まり、シンプルなインテリアにもよく映えます。
◆◆織りの細かさと品質
ノット数(結び目の数)でいうと、100万ノットは決して最高数ではありません(現在では121万~144万ノットのものも存在)が、実際に触れるとその柔らかさ・滑らかさは格別で、さすが名工房による最上質シルクを使った逸品だと実感いただけることでしょう。
さらに、裏面を見ても織りの均整が非常に美しく、一流工房ならではの高い技術と品質の証です。
◆◆◆パルメット文様について
パルメット文様とは、蓮の花をモチーフにしたデザインで、ペルシャ絨毯でもっとも人気のある文様のひとつ。その歴史は古く、古代エジプトに端を発し、古代ギリシアで広く用いられたのち、アレキサンダー大王の遠征を経て東方に伝わり、ガンダーラ美術や仏教美術にも取り入れられ、中国美術にも影響を与えたとされています。
ペルシャでは、古代エジプトやアッシリア王国との接触を通じてこの文様が伝わり、ギリシア植民地の影響も受けながら発展。その後、東ローマ帝国とササン朝ペルシャの交流を経て、さらにイスラム美術に広まりました。興味深いことに、パルメットが文様がペルシャ絨毯に普く用いられるようになったのは、13世紀の蒙古軍の侵略のあとです。それゆえに、ペルシャ絨毯のパルメット文様には、むしろ中国美術の影響の方が強いと言われています。
そんな長い歴史と文化交流の結晶ともいえるのが、この美しいパルメット文様です。
伝統と文化、卓越した技術が詰まった一枚、ペルシャ絨毯、手織りの名品。ぜひこの機会にご堪能ください。
◆状態