人気のリニアトラッキングアーム搭載クオーツロックプログラムオートレコードプレーヤーの本格的上級機種 SL-QL15です。
SL-QL1などのシリーズ機にプログラム機能を搭載した機種ですが、このタイプのフルサイズ機では最終型に近く完成形といえるでしょう。
この後にSL-L3が発売、デザインは一新されましたが内容は殆ど同じ、定価も同じでしたがより合理化、簡略化されてしまいました。
内容的にはジャケットサイズのSL-Q6のフルサイズ版ですがデザイン的にはこの機種が最高といってもよいでしょう。
本機などのリニアトラッキング機は海外では特に人気が高いようで情報も多く、また国内には無い色違いも発売されていました。
付属のカートリッジは純正のEPC-P30、針も純正楕円針のEPS-30ESです。
針の使用時間はわかりませんが現状特に問題なく楕円針らしい繊細で切れのよい音が出ています。
古いカートリッジの交換針は純正品の入手は困難ですがテクニクスのT4Pタイプの針は型番が違っても共通で使えるようです。
また製造元はナガオカなので型番によっては純正針と同じ物が入手できます。
EPS-30ESもナガオカから入手できるようです。ただし現在は銘板が付いていないので針交換時には古い針の銘板は剥がして付け替えると良いでしょう。
本機も私のお気に入りで複数台所有している中でも動作良好で程度の良い美品を簡単にメンテナンスしたものです。
かつて長岡派でピュアオーディオをしていた頃にはこういったコンパクトプレーヤーなど全く見向きもしませんでした。
しかし、レコードプレーヤーの世界でDDの第一人者としてのテクニクスではこのタイプを忘れる訳にはいきませんね。
実は故長岡氏はメイン機ではありませんが書斎のサブ機にSL-10を使用されておられました。
本機はSL-10などの30cmLPジャケットサイズではありませんが、SL-10やSL-7同様のリニアトラッキングアームを搭載しています。
当時の最新技術を詰め込んだSL-10といえば、多くの賞を受賞しMoMAに永久展示されるほどの銘機でした。
もちろん、そのSL-10も大人気ですが、本機は当時のアンプなどの設置寸法に合わせたサイズ。
なんとかジャケットサイズに詰め込んだSL-10などと比べて設計には余裕があります。
洗練された素晴らしいデザインはB&Oべオグラムと並んで世界でもっとも美しいレコードプレーヤーといえるでしょう。
本機は上位機種SL-QL1などと比べると進化したぶん中身はかなり合理的に簡素化されたようにも見えますが、技術的進化ともいえます。
ダイキャスト製の筐体ではなくなり軽くなってしまいましたが、私見ではテクニクスのこのリニアトラッキング方式は軽い筐体にも合うようです。
本体が軽くても実に本格的な再生音が出てしまうようです。
高い技術のプログラム機構と優れたデザインはまさにシリーズ最終の完成形といえるのではないでしょうか。
この機種などは今でも人気なので、当オークションでも見かけるのですが、よく気を付けないといろいろと問題があります。
外観はともかく、しっかりメンテナンスされて動作保証されていない物は、まず動作不良のジャンク品と思ってよいでしょう。
本機はこのシリーズ機でよく問題になるアーム送りのモーターベルトを交換し、硬化して動作不良になりやすいギヤー部など可動部の
グリスの塗りなおし、モーター軸も古いオイルはふき取り、新たに超潤滑性の特別なオイルを注油しました。
アームはベルトは硬化するとアームは動かなくなりますが、グリスが劣化するとスムーズに動かなくなりノイズが出ます。
このアーム送り用ベルトは入手が難しいのでとても高額で出品されていたりします。
また、あるパーツ屋さんも適正価格で販売されているのですがサイズにちょっと問題があります。
自作で作ってしまう方も居られますが繋ぎなどがとても難しく精度に問題があります。
私は耐久性も高いとても良いベルトを見付けました。オリジナルのベルトは一般的な黒ゴムで長時間経つと必ず劣化して硬くなってしまいます。
もちろん動作はとてもスムーズでオート機構も問題ありません。
脚部インシュレーターはゴムが切れて無くなっていました。これは別機種の同種の物に交換して使用には問題はありません。
ゴム部品には劣化防止の保護剤をかけてあります。
このタイプの機種の出品では裏側の写真が無い物は注意が必要です。大抵はインシュレーターのゴムが切れて無くなっていますね。
本機はカバー部が2段階で開くのですが全開状態にならず下がってしまう機体が多く見受けられます。
ここも調整して問題なく全開状態を維持できます。
軽いタッチのスイッチ類は古くなると使われているタクトスイッチの接触不良が起きます。
ここはプロ仕様の定評ある接点復活クリーニング剤を使って丁寧にクリーニング済み。全て問題ありません。
本機では問題になる箇所は全て対策済みです。多くのメンテナンスされていない出品ではかなり怪しいと言えるでしょう。
MMカートリッジの交換針は他社製の互換品が数多く出回っていますがオリジナルとは全くの別物です。
現在も新品で入手できるのは大きなメリットですが、とても高品質のJICO製などであっても基本的に別物とお考えください。
テクニクスT4Pカートリッジと純正針の製造元ナガオカ製の交換針が丸針、楕円針ともに簡単に入手できる事は大きなメリットですね。
入手時本機はアーム駆動ベルトの劣化とメカのグリス劣化で動作に難がありました。
もちろんベルト交換とグリスの塗り直しで動作は快適になりました。
外観には年式なりのキズがありますが特殊なクリーニングワックスで磨いて汚れは殆どなく綺麗です。
腐食しやすいボタン類、プラッターなどもコンパウンドや金属磨きクロスで磨いてとても綺麗です。概ね美品といってよいでしょう。
詳細は添付画像をよくご覧になってご検討ください。写真は下手で申し訳ありませんが多めにupしておきました。
本機の音は、こんなにコンパクトなのに実にしっかりとして力強さもあり、リニアトラッキングならではの定位の良さと
広い音場でカートリッジの違いもちゃんと出せます。
全く興味のなかったはずのT4Pタイプのカートリッジの手持ちも増えてしまいました。
もともとかなりのグレードのカートリッジなので、交換針しだいでまだまだその能力は引き出せるかと思います。
クオーツロック仕様ですので回転はとても安定しています。
基本操作は実に簡単ですので、どなたにも簡単に素晴らしい音がお楽しみいただける事でしょう。
テクニクスのオート機にはミューティング機能がありますので針を置く時の初めのノイズも出ません。
なお、アンプなどと違いショートタイプのミューティングリレーですので不良で音が出なくなることはありません。
このリレーも接点クリーニング済みです。
プログラムオート機能も問題なく動作します。LP盤、シングル盤はもちろん珍しい25cm盤もしっかり検出、最適な回転数に設定されます。
なお、一般的ではない30cm45rpm盤などは手動で回転数を設定してください。
なお、本機のレコード検出は光学式なので曲間などが正しく認識されない場合があります。
その場合検出感度の設定がありますのでお試しください。
付属品は純正の電源コードとアース線、定評あるカナレ製新品RCAケーブルになります。
なお、画像にあるレコードはテスト用なので付属しません。
取扱説明書はありませんが海外版のマニュアル(英文)のコピーと本機とほぼ同じ機能のジャケットサイズ版SL-Q6の取扱説明書のコピーをお付けします。
不鮮明な所はあるかと思いますがご了承ください。
本機は簡単操作ですが、レコードプレーヤーはオーディオ製品の中では特に繊細でその取り扱いには熟練が必要かと思います。
私は今でもレコードを聴くことがメインで多くのプレーヤーを使用してきました。
やはりオーディオマニアでしたらレコードを聴きましょう。
メカ部分がほとんどのアナログレコードプレーヤーはオーディオ機器の中では本当に特別な物と思います。
リサイクル業者の方などご自身で全くプレーヤーを扱う事のないオーディオとは無関係な方が梱包を行うとプラッター
ゴムシート、アームなどをロクに固定もせず送られてしまい本当に呆れる事が多いです。
いくら細かく説明してもわからないのですね。この点私は趣味でプレーヤーを扱って来ましたので梱包、発送に関してはご安心ください。
カバーとプラッターとの間には緩衝材を輸送中に動かないよう固定して発送します。
ただし、段ボール箱や緩衝材はリサイクルを使いますのでご了承ください。
この機種も、世界的総合電器メーカー松下が当時の技術の粋を注ぎ込んだ歴史的遺産と呼べるのではないでしょうか。
初めてお手にされる方は、薄型コンパクトでとても美しい丁寧な造りとその素晴らしい機能、動作、そして音に驚かされることでしょう。
このタイプはジャケットサイズの方は人気が高いのですが、組み合わせる他の機器とサイズの合うこちらの方が使いやすいかもしれません。
限られたサイズに無理して詰め込んだのと違いこちらは余裕があります。このリニアトラッキング方式の完成度の高さをよくご覧ください。
本機はデザイン的にも特に素晴らしく世界的な銘機B&O べオグラムなどと比べても全く見劣りしない銘機といっていいでしょう。
デザインはイマイチと言われてしまうテクニクスにもこんな素晴らしいプレーヤーがあったのです。
テクニクスのプレーヤーは海外でも人気ですが本機もかなり人気が高いようです。
テクニクスは復活しましたが、こちらはどうでしょうか?DJには関係なさそうですから無理でしょうね。
現在同じ物を作ったら20万円くらいは軽く超えてしまうでしょう。銘機SL-10は当時の松下だからこそ開発できたと言われたようです。
本機やその後のジャケットサイズ機にもその技術はそのまま流れていましたが途絶えてしまいました。
でもこんな素晴らしい技術が継承されずに消えていくのはとても残念に思います。
この後も是非、末永くお使いいただきたくお願いします。