K. Michelle
Kimberly: People I Used to Know
中古盤
輸入盤
「あれ,K. Michelleってこんなにトンガってたっけ?」
前作が鳥肌もののヴォーカル・アルバムだっただけに,序盤の扇動的なラップ・ナンバー「Alert」を聴いてそう思ってしまいました。サザン・ソウルを思わせる「God, Love, Sex, and Drugs」の泥臭いサウンドは,メンフィス出身の彼女ならではの曲とも言えますが,なんかちょっと違うような・・・と戸惑っていたら,出ました! 心に響く佳曲が。「Make This Song Cry」です。美しくも感傷的なメロディーだけでも思わず涙腺が緩んでしまいそうになるのですが,悲愴感さえ漂う歌声でこの身も張り裂けんばかりに歌い上げるミシェルのヴォーカル。もう何も言うことはありません。最高です。
というわけで,本作は彼女の強烈な個性の表れなのか,正統派バラードもあれば,結構トンガッてる曲もあって,僕のようなミーハーにはちょっと難解なのですが,オーソドックスなR&Bを求める方なら,後半はなかなか聴き応えがあるんじゃないでしょうか。
タイトルからはとても想像できないお洒落で夢見心地なジャズ・バラードの「Fuck Your Man (Interlude)」,ピアノとストリングスが紡ぎ出すピュアで心安らぐメロディーをひたむきに歌い上げる「No Not You」,愛らしいキーボードのフレーズも夢見心地な「Talk to God」等々。そして,終盤2曲のバラードが素晴らしいです。
「Brain on Love」は,春の陽光を思わせる穏やかで柔らかなピアノの調べも心安らぐナンバー。「Woman of My Word」は,黄昏時に聴きたくなる,ブルージーで温もりを感じさせるナンバー。どちらもミシェルの渾身のヴォーカルに心打たれます。
今風の曲で言うと,「Kim K」に魅かれました。ジャジーで物憂げなサウンドに,ラップのような滑らかなヴォーカルが絡み合う,気だるくも心地良いミッドテンポです。(余談ですが,この曲のKimって彼女の本名のキンバリーを意味してるんでしょうかね。)伸びやかで神秘的な雰囲気さえ漂うシンセ・サウンドの「Rounds」,じわじわと迫ってくるかのような緊迫感のあるサウンドに情感たっぷりに熱く歌い上げるヴォーカルの「Giving Up on Love」もイイです。
前作と比べると,一聴しだだけで「これだ!」という曲は少し減りましたが,聴く者を圧倒する彼女の歌力は健在。一聴してピンと来ない曲も,何度か聴くうちにその奥深さがわかるのかもしれません。今回もなかなか聴き応えのあるアルバムでした。