プレスティッジで最終セッション。契約の消化試合っぽい。タイトルこそ"力作"だが。
とはいえ演奏は悪くない。とっ散らかってるだけ。
メンバーは気心知れたリズム隊。ケニー・ドリューの起用は1stリーダー作のセッション群ぶり。
マイルスつながりか。(1)、(2)、(4)がロリンズのオリジナル。
演奏は悪くないが、今一つつかみどころ無いコンセプトのアルバムだ。ワンホーンでお気に入りの
曲を、さくっと録音した感じ。多作だった56年末、12月7日だけで収録は終わらせた。
そしてこの約一週間後の12月16日、ブルーノート移籍一作目"Sonny Rollins, Vol. 1"となるレコー
ディングを行うことになる。
本盤にはボーカリストが2曲で参加。これがまあ、新味と言えるか。この後、特に歌伴路線をロリンズ
が追求したわけでもなく、気まぐれかもしれない。
歌うEarl Colemanは当時31歳。ロリンズと同世代だ。元はビリー・エクスタインのオケなどで歌い
、48年ごろにカリフォルニアでパーカーやマックス・ローチと演奏ってwikiにあり。その絡みで本盤
へつながるのかも。
内容は手抜きじゃない。ロリンズは本盤でいろんなアプローチを試してる。(1)でがっつりモダン
に吹いたかと思えば、(2)ではコルトレーンばりの音数多い吹きまくり。ずるずるとスラー連発に閉口し
そうなとこで、するりとタンギングや譜割でメリハリつける構成力が、さすがのロリンズだ。手癖にとどま
らない。荒っぽいけどね。
しかし高速疾走のあとLPでは一転、(3)でブルージーにしっとり来られると、さすがに落差が凄い。思い切り
オンマイクの低音でアール・コールマンが渋くねっとり歌い、背後で静かにテナーが鳴る。悪くない音像だが
ロリンズである必然性は?とも感じた。
ロリンズは特に尖鋭性や前衛を気取らず、クラブだと本曲みたいに肩の力抜いた演奏もしてたのかも。
もっとも伴奏でサブトーンまとった、胸震わせるロマンティックなフレージングはさすがの貫禄だ。
(4)は再び猛スピードのフレージング。目まぐるしくせわしなく、ジャズが跳ねた。ローチのロールを多用
する勇ましいプレイが、なおさらグルーヴを煽る。これをA面に入れないのか。確かに片面へ入れるには、長
すぎるけれど。
しっとりサブトーンの(5)は、ロマンティックなボーカルが再び。特にB面で本盤はロリンズの幅広さを
封じ込めた。ちょっと極端なほどに。CDではもう一曲、ボートラで(6)が加わる。これはアップテンポ
のセッション。ロリンズは力任せに吹き倒す。ドラム・ソロも結構長い。もとは本盤に続く"Sonny Boy
"(1956)に収録のテイクだ。やはり新天地ブルーノートに向けて、気もそぞろな慌ただしさも感じるなあ。
1.Ee-Ah
2.B. Quick
3.Two Different Worlds
4.B. Swift
5.My Ideal
6.Sonny Boy