様々な文化財調査や民俗調査を通して、県内の養蚕・蚕神信仰と関わりを持った。・・・やがて「群馬のオシラサン」の事例が増えると
「東北のオシラサン信仰」とは違うことに気がついた。「群馬のオシラサン」には「養蚕の神信仰」以外の信仰は何もないこと。家ごとの
信仰で一族や村人・それも女性の祭りはないこと。不思議な「人形」はなく、「馬と娘の恋」の話はないこと、等に気がついた。・・・
東北の養蚕の伝承の中に「蚕の神」のはっきりした事例が見えないことに疑問を感じた。群馬県を含む関東には、絹笠・蚕影・蚕養明神信仰
があり、共通して「金色姫伝承」を語り、「馬鳴菩薩信仰」もある。このほかに「オシラサン信仰」もあり、名称はおなじでも、その内容に
相違があり、比較・検討が必要と感じた。（本書　はじめより）

本書は著者が膨大な資料を基に、明治時代の産業の花形であった蚕糸業の中で、最も多くの人が暮らしと共に関わっていた”養蚕”をめぐる
人々のさまざまな祈りである蚕神として様々な形として現れた養蚕信仰を当時の暮らしとの深い関わりを含め、体系的にまとめあげた
480余頁にわたる大著です。

●「養蠶の神々－蚕神信仰の民俗－」

●　目次(第一、二、三章の目次の詳細は下記画像を参照）
　　　序　章　群馬の養蚕
　　　　　一．近代の養蚕
　　　　　　1　桑原から桑圓へ
　　　　　　2　飼育
　　　　　　3　養蚕農家
　　　　　　4　風穴蚕種から多数回飼育へ
　　　第一章　神道系の蚕神
　　　第二章　仏教系の蚕神
　　　第三章　民間信仰の蚕神
　　　第四章　養蚕の芸能
　　　　　　はじめに
　　　　　　第一節　神楽
　　　　　　第二節　春駒
　　　　　　第三節　ゴゼ（瞽女）
　　　終　章　まとめに代えて
　　　　一、蚕霊供養
　　　　　　1.殺生戒と「カイコ」
　　　　　　2.蚕霊供養塔
　　　　　　3.蚕霊の供養と鎮魂
　　　　二、神道系の蚕神
　　　　三、仏教系の蚕神
　　　　　　1.馬鳴菩薩信仰
　　　　　　2.蚕影・絹笠明神
　　　　四、民間信仰の蚕神
　　　　　　1.関東のオシラサン信仰
　　　　　　2.東北のオシラサン信仰
　　　　　　3.二つのオシラサン
　　　　五、蚕玉様
　　　　六、「猫神」と「蛇神」
　　　　　　1.「ネコ神」
　　　　　　2.ナガムシ（蛇）
　　　　七、「蚕の神」
　　　　　　1.蚕の神
　　　　　　2.祀られる「カイコ」
　　　　　　3.姿が見えない「蚕神」

　　　　主な参考文献
　　　　謝辞
　　　　あとがき

●　著者　阪本栄一

●　発行日　平成20年3月11日　第一刷発行
　　　　　　平成20年10月30日　第二刷発行

●　発行所　群馬県文化事業振興会　定価5,000円

●　サイズ　16ｃｍ×21.8ｃｍ　486頁

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