
文庫です。 状態は並です。
「百人一首」に詠まれているのは、今に通じる人の思い。
美しい桜に感動したり、出世できずに嘆いたり、浮気な恋人を恨んだり……。
そこに詠み人の“思い"を感じれば、難しい勉強などしなくても、和歌に親しむことができるのだ。
本書では、歌の成立背景から詠み人の人となりまで、「百人一首」を味わうためのポイントを紹介。
楽しみながら、古典をぐっと身近に感じられる一冊。
文庫書き下ろし。
はじめに 現代に詠みつがれる「百人一首」の魅力
「百人一首」とは何か
知っておきたい和歌の基本用語
「いろは歌」の作者ともいわれる和歌の神 柿本人麻呂
田子の浦に うち出てみれば 白砂の 富士の高嶺に 雪は降りつつ--山部赤人
奥山に 紅葉踏み分け 鳴く鹿の 声聞くときぞ 秋は悲しき--猿丸大夫
鵲の 渡せる橋に おく霧の 白きを見れば 夜ぞ更けにける--中納言家持
陰陽師の先祖説をもつ悲劇の遣唐使 安倍仲麻呂
わが庵は 都のたつみ しかぞ住む 世をうぢ山と 人はいふなり--喜撰法師
花の色は 移りにけりな いたづらに わが身世にふる ながめせしまに--小野小町
数々の伝説で男を負かせる絶世の美女 小野小町
これやこの 行くも帰るも 別れては 知るも知らぬも 逢坂の関--蝉丸
わたの原 八十島かけて 漕ぎ出でぬと 人には告げよ あまの釣り舟--参議篁
天つ風 雲の通ひ路 吹きとぢよ 乙女の姿 しばしとどめむ--僧正遍昭
『伊勢物語』のモデルは世間を騒がす色男 在原業平
住の江の 岸による波 よるさへや 夢の通ひ路 人目よくらむ--藤原敏行朝臣
難波潟 短き葦の ふしのまも あはでこの世を すぐしてよとや--伊勢
侘びぬれば 今はた同じ 難波なる 身をつくしても 逢はむとぞ思ふ--元良親王
『古今集』の編纂者で、平安歌壇のスーパースター 紀貫之
夏の夜は まだ宵ながら 明けぬるを 雲のいづこに 月宿るらむ--清原深養父
白露に 風の吹きしく 秋の野は つらぬきとめぬ 玉ぞ散りける--文屋朝康
忘らるる 身をば思はず 誓ひてし 人の命の 惜しくもあるかな--右近
古典文学最高傑作の作者は、慎み深いインテリ女性 紫式部
有馬山 ゐなのささ原 風ふけば いでそよ人を 忘れやはする--大弐三位
やすはらで 寝なましものを 小夜更けて かたぶくまでの 月を見しかな--赤染衛門
大江山 いくのの道の 遠ければ まだふみも見ず 天の橋立--小式部内侍
『枕草子』でおなじみ、天真爛漫な魅力を放つ才女 清少納言
今はただ 思ひ絶えなむ とばかりを 人づてならで いふよしもがな--左京大夫道雅
朝ぼらけ 宇治の川霧 絶えだえに あらはれ渡る 瀬々の網代木--権中納言定頼
うらみ侘び ほさぬ袖だに あるものを 恋に朽ちなむ 名こそ惜しけれ--相模
みずからの最期を予言した、漂泊の歌人 西行法師
村雨の 露もまだひぬ 真木の葉に 霧立ちのぼる 秋の夕暮--寂蓮法師
難波江の 葦のかりねの 一夜ゆゑ みをつくしてや 恋わたるべき--皇嘉門院別当
玉の緒よ 絶えなば絶えね ながらへば 忍ることの 弱りもぞする--式子内親玉
永遠に続く栄華を夢見た、鎌倉時代のセレブ 藤原公経
来ぬ人を 松帆の浦の 夕なぎに 焼くや藻塩の 身もこがれつつ
風そよぐ 楢の小川の 夕ぐれは 禊ぎぞ夏の しるしなりける--従二位家隆
人もをし 人もうらめし あぢきなく 世を思ふ故に もの思ふ身は--後鳥羽院
激動の人生のなかで、和歌を愛し続けた院 後鳥羽院
百藪や 古き軒端の しのぶにも なほあまりある 昔なりけり--順徳院