-- ●SP盤霧島昇若鷲の歌 / 藤山一郎決戦の大空へ / 古関裕而西條八十作 / 日蓄 100789 / 1943年戦意高揚映画主題歌予科練軍歌

基本情報｜Release Information
戦時下の熱が黒蝋の溝に宿る音の記録。
レーベル：日蓄レコード（Nitchiku）
品番：100789
フォーマット：SP盤（78rpm, 10インチ）
国：日本
リリース年：1943年（昭和18年）
タグ：Military, Propaganda, 1940s, Japanese Navy, Wartime Song, Film Theme

作品の解読｜Decoding the Work
このSP盤に刻まれた音は、単なる戦意高揚のための軍歌以上の何かである。1943年、太平洋戦争が激化するなか制作された映画『決戦の大空へ』の主題歌「若鷲の歌」は、旧日本海軍の飛行予科練生たち＝予科練の青春を理想化し、未来なき栄光へと誘う旋律として全国に流布された。作詞は詩人・西條八十、作曲は後にNHK朝ドラでも脚光を浴びる古関裕而。彼らは実際に土浦海軍航空隊に赴き、訓練生の声を聴き、数種類の旋律案の中から「挙手多数」で選ばれたという短調のメロディにこの詩が置かれた。霧島昇、波平暁男、藤山一郎という戦時歌謡の象徴的人物たちが歌声を寄せ、若者たちの純粋な志がかえって不気味なまでの重さを伴って聴こえてくる。音響的には勇壮さと哀切がせめぎあい、前線と銃後、希望と死が重層的に反響し合う。この記録媒体が流通した1943年9月10日から約一年足らずで販売枚数は23万枚を超え、戦時日本における音楽メディアの影響力を証明するものともなった。戦後、歌は一時封印され、歌碑のみがその痕跡を地上に残したが、このSPの盤面に触れるとき、音は再び問いかける――「音楽は誰のために、どこへ向かって鳴るのか」と。

支払と配送｜Payment & Shipping
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