レベル42は、基本的に『ファンク・ミュージック』系のバンドですが、前作『ランニング・イン・ザ・ファミリー』のツアー終了後に、ギターの『ブーン・グールド』とドラムの『フィル・グールド』が脱退してしまいました。
音楽性を一新したかったのか具体的な理由はわかりませんが、アルバムの半分ぐらいの楽曲をベース/ヴォーカルの『マーク・キング』と『ブーン・グールド』によって楽曲が書かれているので、ロック的な方向に進むことが前提となっていたのだと考えています。
その後、ギターの『アラン・マーフィー』とドラムの『ゲイリー・ハズバンド』が加入して、パワフルなロック・バンドでレコーディングされたアルバムが『スターリング・アット・ザ・サン』になります。このアルバムは、全体的にロック的でタイトで心地よいハイセンスなアルバムだと思います。
もちろん全曲捨て曲なしのアルバムになりますので、初めて聴く方でも問題なく楽しめるアルバムだと思います。
- クールでタイトなロック・サウンドで統一されている
- アラン・マーフィーのギター・プレイ
クールでタイトなロック・サウンドで統一されている
このアルバムは、クールでタイトなロック・サウンドで統一されていて特にカッコいいと思います。前作以前のアルバムですと『ファルセット・ヴォイス』などでクールでファンキーなメロディーの楽曲が沢山ありましたが、今作は実にロック的なメロディーが素晴らしいと思います。
考えてみると、実際に『ブーン・グールド』と『フィル・グールド』が脱退した時点で、ファンキーなサウンドのレベル42のサウンドを再現することが、難しかったのかもしれません。
ただこのアルバムで打ち出したサウンドは、現在聴いても新鮮で、なおかつ完成度が高い楽曲だと思っています。
『レベル42』の歴史から見ると『スターリング・アット・ザ・サン』は番外編的なアルバムに見えるかもしれませんが『レベル42』だから構築できた素晴らしいサウンドだと思っています。
アラン・マーフィーのギター・プレイ
『アラン・マーフィー』自身は、『レベル42』以前は『ゴー・ウエスト』という2人組のユニットのグループの『バック・メンバー』としてギターをプレイしていて『セカンド・アルバム』では曲作りにも参加しています。
彼のギター・プレイは、特にニュアンスが独特で『ギターのアームを細かく使用して「ジェフ・ベック」のような繊細なプレイ』と『先の読めないプレイ』が印象的で、特にこのアルバムに大きな影響をもたらしていると思います。
ギターのみ澄まして聴いていると、本当にギターの神様『ジェフ・ベック』が弾いているのではないかと錯覚してしまいそうでした。
『アラン・マーフィー』本人自身は『ジェフ・ベック』ではなく、どうやら『アラン・ホールズワース』のファンだったらしく『ギターのアームを生かしたプレイ・スタイル』はそこからきているようですね。
このような素晴らしいプレイをしていましたが、このアルバムのツアー後に、残念ながら『エイズ』で帰らぬ人になってしまい遺作となってしまいました。素晴らしいプレイヤーなだけに悲しいですね。ぜひ彼のプレイを楽しんで頂きたいと思います。