アンティーク メモパッド シクラメン

アールヌーボーの素敵なメモパッド。
シクラメンが半立体で描かれています。

花の部分は金属の枠に赤と白のエマイユで装飾されています。
花の上には金属で出来た蝶が2頭舞っています。
蝶は手彫りで模様が彫られていて小さなサイズですが抜かりありません。

葉と茎の部分は紙にペイントされているようです。
茎の間をうねる細長い葉は金属で出来ています。

背景部分はほとんどはがれて地の部分になっていますが
元々は紫色のベルベットが敷き詰められていたようです。
下の台座部分やメモパッドの背表紙に当たる部分は毛足の短いベルベットが残り、
側面や裏面にわずかに残る紫色のベルベットが元の色を知らせてくれます。

茎や葉の部分は経年劣化が見られます。
エマイユ部分もひび割れがありますが肉眼ではほとんど気になりません。

メモを開くと内側に褪色がありますがピンク色のシルクが張られています。
メモ部分は大方使用済みで切り取られていますが7枚ほど無地ページが残っています。
最後のページは少し書き込みがあります。
メモの側面は金色になっていて当初はかなり華やかなメモパッドだったと想像できます。
脇にはシルク張りのペンホルダーがついています。

シルク部分に金字でAUGUSTE KLEINとメーカー名、所在地が入っています。
Auguste Kleinは高級なブロンズ等の装飾品からコインパース等の小物まで扱っていた
メーカーのようで、クロード・モネの絵画にもあるキャピュシーヌ大通りに
店を構えていたようです。

当時の姿を想像したり、そこから過ぎた時間に思いを馳せるのも良さそうです。