人気のリニアトラッキングアーム搭載クォーツロックプログラムオートレコードプレーヤーの本格的上級機種 SL-L3です。
SL-QL1などのシリーズ機にプログラム機能を搭載した機種ですが、このタイプのフルサイズ機では最終型のようで完成形といえるでしょう。
前機種のSL-QL15からデザインは一新されましたが内容は殆ど同じ、定価も同じでより合理化、選曲機能も改良され正確になっています。
プログラムは10曲から8曲に減りましたが特に問題は無いと思います。LP片面に10曲はまず無いでしょう。
内容的にはジャケットサイズのSL-Q6のフルサイズ版ですがデザイン的にはこの機種が最高といってもよいでしょう。
そのデザインの素晴らしさはグッドデザイン賞が証明しています。
本機などのリニアトラッキング機は海外では特に人気が高いようで情報も多く、また国内には無い色違いも発売されていたようです。
今回はすぐにお使いいただける純正カートリッジEPC-P30と丸針ですが純正針付きです。
針の使用時間はわかりませんが現状特に問題なく切れのよい音が出ています。この純正カートリッジと針だけでもけっこうな価値があります。
P30のでの出品、落札価格を調べてください。音の出ない、問題ありのジャンク品で3000円前後、動作確認済みなら5000円ほどです。
さらに即決で購入された方にはこのタイプのプレーヤーにも使える軽量クランプ式のスタビライザーをお付けします。
このタイプのプレーヤーに使えるスタビライザーはまず無いと思いますがこのVinyl Stylのクランプ式スタビライザーなら使えます。
テクニクスのジャケットサイズ機などでも使えない機種はありますが本機では問題ないと思います。未開封新品です。
もちろん一般的なほとんどのプレーヤーにも使用できます。
本機も私のお気に入りで複数台所有している中でも動作良好ですがカバーにクモリがあった機体をを簡単にメンテナンスしたものです。
クモリはコンパウンドなどで丁寧に磨いて殆ど気にならない程度まで綺麗になりました。
かつて長岡派でピュアオーディオをしていた頃にはこういったコンパクトプレーヤーなど全く見向きもしませんでした。
しかし、レコードプレーヤーの世界でDDの第一人者としてのテクニクスではこのタイプを忘れる訳にはいきませんね。
実は故長岡氏はメイン機ではありませんが書斎のサブ機にSL-10を使用されておられました。
本機はSL-10などの30cmLPジャケットサイズではありませんが、SL-10やSL-7同様のリニアトラッキングアームを搭載しています。
当時の最新技術を詰め込んだSL-10といえば、多くの賞を受賞しMoMAに永久展示されるほどの銘機でした。
もちろん、そのSL-10も大人気ですが、本機は当時のアンプなどの設置寸法に合わせたサイズ。
なんとかジャケットサイズに詰め込んだSL-10などと比べて設計には余裕があります。
洗練された素晴らしいデザインはB&Oべオグラムと並んで世界でもっとも美しいレコードプレーヤーといえるでしょう。
本機は上位機種SL-QL1などと比べると進化したぶん中身はかなり合理的に簡素化されたようにも見えますが、技術的進化ともいえます。
ダイキャスト製の筐体ではなく軽くなってしまいましたが、私見ではテクニクスのこのリニアトラッキング方式は軽い筐体にも合うと思います。
本体が軽くても実に本格的な再生音が出てしまうようです。
高い技術のプログラム機構と優れたデザインはまさにシリーズ最終の完成形といえるのではないでしょうか。
この機種などは今でも人気なので、当オークションでも見かけるのですが、よく気を付けないといろいろと問題があります。
外観はともかく、しっかりメンテナンスされて動作保証されていない物は、まず動作不良のジャンク品と思ってよいでしょう。
本機はこのシリーズ機でよく問題になるアーム送りのモーターベルトを交換し、硬化して動作不良になりやすいギヤー部など可動部の
グリスの塗りなおし、モーター軸受けも古い油をふき取り新たに注油しました。
アームはベルトは硬化するとアームは動かなくなりますが、グリスが劣化するとスムーズに動かなくなりノイズが出ます。
このアーム送り用ベルトは入手が難しいのでとても高額で出品されていたりします。
また、あるパーツ屋さんも適正価格で販売されているのですがサイズにちょっと問題があります。
自作で作ってしまう方も居られますが繋ぎなどがとても難しく精度に問題があります。
私は耐久性も高いとても良いベルトを見付けました。オリジナルのベルトは一般的な黒ゴムで長時間経つと必ず劣化して硬くなってしまいます。
もちろん動作はとてもスムーズでオート機構も問題ありません。
このタイプのプレーヤーでは多くのスイッチが経年劣化で接触不良になりスムーズに設定できなくなる事があります。
スイッチの接点は信頼できる接点復活剤でクリーニングして動作に問題はありません。
傷みやすい脚部インシュレーターゴムも問題はありません。ゴム部品には劣化防止の保護剤をかけてあります。
この機種にはテクニクスが提唱したT4P規格のカートリッジEPC-P30が搭載されています。
このT4PカートリッジはSL-6などに搭載されていたクリアオレンジノブの丸針仕様のEPC-P24がとても人気がありますが
こちらはより上級仕様です。本機付属は楕円針ですがその丸針仕様のEPS-30CSをお付けします。
このカートリッジと針はお勧めですね。本格的なとても良い音を聴かせてくれます。
MMカートリッジの交換針は他社製の互換品が数多く出回っていますがオリジナルとは全くの別物です。
現在も新品で入手できるのは大きなメリットですが、とても高品質のJICO製などであっても基本的に別物とお考えください。
テクニクスT4Pカートリッジと純正針の製造元ナガオカ製の交換針が簡単に入手できる事は大きなメリットですね。
本体、カバー部などクモリがあったのでサンドペーパーやコンパウンドで磨き特殊なクリーニングワックスで仕上げました。
クモリは殆ど消えましたがあまり目立たない細かいキズはあります。汚れはほとんどありません。
腐食しやすいボタン類、プラッターなどもコンパウンドや金属磨きクロスで磨いてとても綺麗です。腐食を磨いた跡の僅かなクスミはあります。
写真は下手で申し訳ありません。詳細は添付画像をよくご覧になってご検討ください。あまり綺麗には撮れませんが実物はとても綺麗です。
本機の音は、こんなにコンパクトなのに実にしっかりとして力強さもあり、リニアトラッキングならではの定位の良さと
広い音場でカートリッジの違いもちゃんと出せます。
全く興味のなかったはずのT4Pタイプのカートリッジの手持ちも増えてしまいました。
もともとかなりのグレードのカートリッジなので、交換針しだいでまだまだその能力は引き出せるかと思います。
クォーツロック仕様ですので回転はとても安定しています。
基本操作は実に簡単ですので、どなたにも簡単に素晴らしい音がお楽しみいただける事でしょう。
テクニクスのオート機にはミューティング機能がありますので針を置く時の初めのノイズも出ません。
なお、アンプなどと違いショートタイプのミューティングリレーですので不良で音が出なくなることはありません。
プログラムオート機能も問題なく動作します。LP盤、シングル盤をしっかり検出、最適な回転数に設定されます。
なお、一般的ではない25cm盤、30cm45rpm盤などは手動で設定してください。
なお、本機のレコード検出は光学式なので曲間などが正しく認識されない場合があります。
その場合検出感度の設定がありますのでお試しください。
付属品は電源コード、RCAケーブル、自作アース線です。なお、画像にあるレコードはテスト用なので付属しません。
電源コードは純正ではありませんがよりしっかり作られた社外品です。
取扱説明書はありませんが海外版のマニュアル(英文)のコピーをお付けします。不鮮明な所はあるかと思いますがご了承ください。
さらに即決で購入された方には上述の未開封新品のVinyl Styl軽量クランプ式スタビライザーをお付けします。
本機は簡単操作ですが、レコードプレーヤーはオーディオ製品の中では特に繊細でその取り扱いには熟練が必要かと思います。
私は今でもレコードを聴くことがメインで多くのプレーヤーを使用してきました。
やはりオーディオマニアでしたらレコードを聴きましょう。
メカ部分がほとんどのアナログレコードプレーヤーはオーディオ機器の中では本当に特別な物と思います。
リサイクル業者の方などご自身で全くプレーヤーを扱う事のないオーディオとは無関係な方が梱包を行うとプラッター
ゴムシート、アームなどをロクに固定もせず送られてしまい本当に呆れる事が多いです。
いくら細かく説明してもわからないのですね。この点私は趣味でプレーヤーを扱って来ましたので梱包、発送に関してはご安心ください。
カバーとプラッターとの間には緩衝材を輸送中に動かないよう固定して発送します。
ただし、段ボール箱や緩衝材はリサイクルを使いますのでご了承ください。
この機種も、世界的総合電器メーカー松下が当時の技術の粋を注ぎ込んだ歴史的遺産と呼べるのではないでしょうか。
初めてお手にされる方は、薄型コンパクトでとても美しい丁寧な造りとその素晴らしい機能、動作、そして音に驚かされることでしょう。
このタイプはジャケットサイズの方は人気が高いのですが、組み合わせる他の機器とサイズの合うこちらの方が使いやすいかもしれません。
限られたサイズに無理して詰め込んだのと違いこちらは余裕があります。このリニアトラッキング方式の完成度の高さをよくご覧ください。
ハイテクのプログラム選曲機能は初期のSL-6などより進化してセンサーをカートリッジ近くに配置して精度が高くなっています。
本機はデザイン的にも特に素晴らしく世界的な銘機B&O べオグラムなどと比べても全く見劣りしない銘機といっていいでしょう。
デザインはイマイチと言われてしまうテクニクスにもこんな素晴らしいプレーヤーがあったのです。
テクニクスは復活しましたが、こちらはどうでしょうか?DJには関係なさそうですから無理でしょうね。
現在同じ物を作ったら20万円くらいは軽く超えてしまうでしょう。銘機SL-10は当時の松下だからこそ開発できたと言われたようです。
本機やその後のジャケットサイズ機にもその技術はそのまま流れていましたが途絶えてしまいました。
でもこんな素晴らしい技術が継承されずに消えていくのはとても残念に思います。
この後も是非、末永くお使いいただきたくお願いします。