|
昭和57年 808P 部数は少なそうです。資料用にもいかがでしょうか。
まえがき 日本はシダ植物の研究者や愛好者にとって、実に素晴らしい国である。 アジアの東端にちょこ んと小さく位置しているにもかかわらず,生育するシダ植物の種類数は頗る多く、また各々の種 類の生態も変化に富んでいる。 日本列島に人が住みはじめて以来、シダ植物は、食糧にまた薬草として、人々とは深い関係を もって、仲間どうし通じ合う名前で呼ばれていたことは容易に想像ができ,また,その後,中国 に源を発する本草学の対象としても、 研究がなされていった。 日本産シダ植物が,近代植物分類学の研究対象となったのは、18世紀の後半からで、自らも日 本で採集に従事した,スウェーデンのチュンベリーをもって,始とする。 その後, 20世紀のはじ めにかけて,フッカー、クンツェ, ミッケル, メッテニウス, フランシェとサバチェックリス ト,ローゼンシュトック,ヒエロニムス,また,ほぼ20世紀に入ってからは,矢田部良吉, 牧野 富太郎,児玉親輔,小泉源一,中井猛之進,伊藤 洋,田川基二, 倉田 悟,杉本順一,西田 誠, 岩槻邦男等の内外の研究者によって、おおいに研究が進められた。
1952年には行方沼東によって「日本シダの会」が発足し、その後、 その会員によって日本国内で の種類の追加や分布が精力的に調査され、現在は日本産シダ植物の戸籍簿といえるような「日本 のシダ植物図鑑」 全8巻の出版が進められており、詳細な分布が解明しつつある。 さて,こうした中にあって, 小笠原,琉球を含む日本の全地域を対象とした参考書がなかった ことはなんとも不便を感じていた。 また、ここ20年間のめざましい日本産シダ植物の研究を紹介 する本がほしいと思っていた。さらに、この本の完成は,個々の種類を多くの方々に理解しても らえるので,現在, 日本シダの会で進めている上記の本の分布図にも良い結果を与えると考えた ことがこの本作りのきっかけでもあった。
この本を作るに当たって,もっとも注意し, 努力した点は,個々の種類の原記載を確かめ、 基 準標本にあたった点である。 また現在までに公表された日本産シダ植物について, 命名規約上の 取り扱いが必要なものについても漏れなく集録するようにと心がけた。 さらに, 分布では,国内 の詳細な分布については, 日本シダの会の本にまかせて、 外国での分布について、標本, 文献上 の出来る限りの努力をした。 こうして出来上がった本であるが,もとより不才の身、 充分に理解出来ない種類やまた, 原記 載, 原標本に当たることが出来なかったものもある。 不注意な誤りをしてしまった所もあるかも しれない。 これらは引き続き勉強を重ね, 機会をみて補充し、 完全なものへ近づけるよう努力を 続けたいと思う。 この本の完成には, 恩師である倉田悟先生にまずお礼を申し上げたい。 シダ植物が好きになっ たのも、また勉強の手ほどきを受けたのもすべて倉田先生であった。 実に多くの事を学ばせてい ただいた。 また, 伊藤洋博士, 田川基二博士といった今日の日本シダ植物研究をおおいに進めた 方々からお話をうかがったり、ご指導を受けたことも、 私のおおいなる喜びである。 この本がまとめられたのは上述の研究者の成果のおかげである。 また、各地方にて標本採集に 従事され, それらを公立の標本庫に納められた方々の並々ならぬ努力に負う所, 大である。 染色
お探しの方、お好きな 方いかがでしょうか。
中古品ですので傷・黄ばみ・破れ・折れ等経年の汚れはあります。 外箱傷、小汚れ。ご理解の上、ご入札ください。もちろん読む分には問題ありません。281932S |