◎英語の書名は"English Usage and Writing for Advanced Learners"となっており、想定される読者は上級者です。外国語で話したり書いたりする際には、母語の表現と当該外国語の表現にずれが生じることがよくあります。たとえば、日本人は「チャレンジ」という言葉を頻繁に使用しますが、"challenge"の主要な意味は、名詞なら"a new or difficult task that tests somebody’s ability and skill"(OALD)とあり、「挑戦する」人の意志ではなく、挑戦する対象の難度の高さを表しています。目の前に高い壁がそびえているようなイメージです。また動詞なら"to question whether a statement or an action is right, legal, etc.; to refuse to accept something"とあり、野球の「チャレンジ」はこの意味(異議申し立て)ですね。"I will challenge a marathon."は「マラソンに挑戦する」ではなく「マラソンには異議あり/反対だ」という意味になります。
◎一方、著者は日本語を覚える過程で、次のような経験をしています。"take a shower"を「シャワーを取る」と和訳して、誤りと気付かずにかなり長い間使用していた。このように、外国語の学習においては、ひとつの言語の表現を別の言語に単純に置き換えると不自然な表現になることはよく見られる現象です。そこで、日本人の英語学習者のために特に間違いやすい70項目を選び、英訳ミスとともに、「ネイティブの直観」に基づく自然な英語を提示したのが本書です。