*植物、石など自然物をモチーフにした銅版画から、版の概念を拡張させる作品を展開させている 川田英二 の作品 『“Theoria 30-08”』です。
2003年制作 直筆サイン入り 限定20部 パネル 【真作保証】です。万が一「真作」でなかった際には返品をお受け致します。
タイトルのTheoriaとは、ギリシャ語で「じっと見る」という意味だそうです。
*川田英二ファンの皆様、作品を探されていた方、作品を気に入った方、ぜひこの機会にコレクションに加えてください。
・作家名:川田英二(かわだ えいじ)1972-
・作品名:“Theoria 30-08”
・技法: 銅版 Etching, Collograph パネルの上に貼られています。
・パネルサイズ:約30cm×約30cm ガラスはありません。
・制作年:2003年
・限定数:20部
※作品裏側に、直筆サインと制作年、エディション が記載されたシールが貼られています。
※作品コンディション:概ね良好です。
画像でご確認ください。
川田英二さんは1972年、高知県生まれ。1995年、名古屋芸術大学美術学部絵画科版画コース卒業、1997年、同大学大学院美術研究科造形専攻修了。高知県在住である。
モチーフとなるのは、セイタカアワダチソウ、ヤツデ、ショウブなど、ありふれた植物である。
川田さんは、これらを山野や道端から採取して、そのままモチーフとする。自然界にある植物の形、存在のあり方に魅せられるように題材を選んでいる。
1つは、銅版画(アクアチント)である。今回は、掛け軸仕立ての作品がそれにあたる。
川田さんは、これらの植物を型紙(ステンシル)のように版の上に置き、植物の形象を写しとるので、自ら「ステンシルアクアチント」という造語で呼んでいる。
それは影の表現ともいえるが、こうした素朴な方法に、川田さんの自然への姿勢を見ることができる。
実体の影として、ありのままに植物の姿を捉えているところに、川田さんが、できるかぎり自然をそのまま作品にしたいという思いを感じるのである。
逆説的だが、影ゆえに自然界の姿形によって動かされる感情がより伝わり、生気、生命力を感じさせるともいえるのである。
版というプロセスを経ることで、しかも、できるだけ簡素な方法をとることで、美しい植物の影をつかまえ、逆説的に、その実体、自然の生命力に近づいているのである。
そもそも、野山や道端での川田さんと植物との出合い自体が偶然である。
版的手法という「間合い」のプロセスを通過するからこそ、日光写真と同様、すべてをコントロールせず、しかも、手を加えすぎず、直接、自然物によって現れる《イメージ=影》だからこそ、浮かび上がるものがある。
必要なものを切り詰めることで、光と影の中に、美しい姿形と、匂い立つような植物の生気が現れる。
植物との《出合い》の時間、影のうつろい、揺らぎ、植物がまさにそこにあるような感覚が呼び覚まされる。
影は、絵画を生み出した源流でもある。
川田さんは、簡素な版の手法によって影をつかまえ、静かに観照し、植物の実体を浮かび上がらせる。
(出典:井上昇治 氏/1964年、名古屋市生まれ。中日新聞社に入社し、新聞記者として、文化部、生活部などで美術、演劇、映画などを担当)