BR 42は、第二次世界大戦時に製造された戦時急造型の重貨物用機関車です。
BR 52とは異なり、「戦争が終わるまで持てばよい」ではなく、戦後の使用も考えられていたようです。
最終的に1945年5月の終戦までに844輌が生産されました。
また戦後にもドイツ、オーストリア、ポーランドで追加生産されており、総生産台数は1,081輌となりました。
BR 42は、ドイツの一部となったオーストリアで使用するために必要とされた重貨物用機関車です。
当時のドイツ国鉄 DRGの標準的な重貨物用機関車BR 44は、軸重が20tと過大なため、同等の出力を備えた軸重18tの機関車の新たな設計が行われました。
BR 42には、1,600tの列車を平坦地で60km/h、また同じ列車を7‰で20km/hで牽引できる性能が求められました。
<DRG BR 42 主要諸元>
型式:1'E-h2、バッファ間距離:23.0m、運転重量:96.6t、軸配置:1E、軸重:17.6t、過熱式二気筒、出力:1,325kW、ボイラー圧力:16bar、最高速度:80km/h、動輪径:1,400mm
BR 42で特徴的なのは前照灯です。
それまでのドイツ蒸機は前側端梁にライトが取り付けられましたが、本機はシリンダーブロックへ取り付けられています。
戦時型機関車として作られたBR 42ですが、実際にはドイツおよびオーストリアでの使用がほとんどで、ポーランドでの使用は僅かでした。
戦後、西ドイツには654両が残り、DBは649両が継承され、1956年まで使用されました。
東ドイツ国鉄 DRには11両が継承され、1969年まで使用されました。
ただし、60km/hを超えると振動が激しいとか、ボイラーが損傷しやすいといった戦時型ならではの欠点もありました。
特にボイラーには大きな問題があり、運用には苦労したようです。
DBでは上記の通り問題が多かったので、比較的早期に全廃されました。
その他、オーストリア、ハンガリー、ルクセンブルク、ソ連、ルーマニア、ブルガリア、ポーランドでも使用され、ポーランドではなんと1995年まで使用されたそうです。
現在でも各国に動態を含めた保存機が存在しますが、早期に廃車されたためか、模型化は少なく、量産模型では、古典に属す1954年初回のPiko、1959年のTRIXを除くと、1980年のLiliput、2018年のMarklinしかありません。
Liliputはフレームにクラックが起きる可能性があり、不安視されていますが、製造から35年経過した現在、
問題なく動作しましたので、此方の商品はあたりといえると思います。
経験的に、25年程問題がなければ、ダイキャストの劣化によるクラックは問題ないと思います。
(クラックや膨張している個体は多数見ています。)