1933年 京都府生まれ、文化功労者・日本芸術院会員・京都芸大名誉教授、本名は淳、父・松篁、祖母・松園とも日本画家、京都市立美術大学で学ぶ、1995年 日本芸術院賞を受賞、2022年には、文化勲章受賞者（日本画）に選ばれた、現代日本画壇の花鳥画の第一人者、脈々と流れる上村家の美の系譜を受け継ぎ、自らの手で千羽を超える鳥の飼育・観察を続ける中から昇華された、鳥の美しく清らかな世界を描く

上村淳之「黄びたき」日本画 8号 金泥 証明シール
本作「黄びたき」は、現代日本画壇の花鳥画の第一人者・上村淳之による作品です。画面には、褐色と金色の線が複雑に絡み合う草むらを背景に、鮮やかな黄色と黒の羽を持つ一羽のキビタキが静かに佇む姿が描かれています。深みのある土色の中にひときわ浮かび上がるその姿は、生命の輝きを凝縮した存在として観る者の目を惹きつけます。

キビタキは春から夏にかけて日本に渡来する小鳥で、鮮やかな色彩は季節の訪れと自然の息吹を象徴しています。上村は千羽を超える鳥を自ら飼育・観察し、鳥の持つ清らかさと力強さを長年追い求めてきました。その眼差しが反映された本作には、単なる写実を超えた「鳥の命を讃える詩情」が宿っています。祖母・上村松園、父・上村松篁へと続く日本画家の系譜を受け継ぎつつ、1995年に日本芸術院賞を受賞し、2022年には文化勲章を受章した上村淳之。彼の花鳥画は、伝統と現代性を融合させながら、自然の中に潜む尊さを描き出しています。「黄びたき」は、草叢の静けさと鳥の鮮烈な存在感との対比を通して、自然の厳しさと生命の輝きが共存する世界を端的に表現した作品といえるでしょう。