〔一点物〕タンカ - チベット医学四部医典薬草図[37x48cm]の説明

■ チベット医学（ソワ・リクパ）の植物図鑑的な医学図

このタンカは、チベット医学（ソワ・リクパ）における薬草学（生薬）を示した植物図鑑的な医学図です。特に、薬草の識別や医療への応用に関する教育目的で作成されました。

タンカの中心に描かれている薬師如来は仏教医学の守護仏であり、病気の治癒と医療の加護を司る存在です。彼の持つ鉢は、薬（薬草や霊薬）を象徴しており、医学と結びついた仏として信仰されています。

タンカ全体にわたって、チベット医学で使用される多様な薬草が描かれています。各植物の名称がチベット文字で記されています。チベット医学では、薬草は「五大元素（地・水・火・風・空）」のバランスを調整し、病気を治療するために用いられます。

薬草の識別とその効能を学ぶための教材として使用されたもので、チベット医師（アムチ）が患者の治療に適した薬草を選ぶ際のガイドになっていたのではないでしょうか。

■タンカとは

タンカとはチベット仏教の教えを目に見える形にすることでその教えを理解しやすくすることを助けるもの、そしてチベット僧の重要な行いの一つの「瞑想」の手助けをするものです。

タンカの図柄には色々なものがありますが、代表的なものにはチベットの高僧であるミラレパを描いたものや、千手観音などの神様を描いたもの、そしてヤントラやマンダラと呼ばれる図形を描いたものがあります。私たち日本人にとってはマンダラなどの図形を書いたものが人気ですが、本場ネパールやチベットでは神様を描いたものが人気なようです。