ノルウェーが誇るプログレッシヴ・エクストリーム・メタル・バンド、エンスレイヴド。彼らはブラック・メタルをバックグラウンドとしながらも、さまざまな音楽スタイルを取り入れることで、大きな人気を博していったバンドの一つだ。イヴァー・ビヨルンソン(G)とグリュートレ・チェルソン(Ba, Vo)がエンスレイヴドを結成したのが91年のこと。この時イヴァーはわずか13歳だったというのだから、その早熟ぶりはただごとではない。93年にエンペラーとのスプリット作でデビュー。本作こそ、世に初めてシンフォニック・ブラック・メタルというスタイルを知らしめた作品である。エンスレイヴドが他のブラック・メタル・バンドと一線を画していたのは、サタニックなイメージを一切使用しなかった点だ。彼らはいち早く北欧神話の世界観を取り入れ、スウェーデンのバソリーとともに、現在のヴァイキング・メタルの礎を築いたのである。作品を重ねるごとに、プログレッシヴ的要素を押し出すようになっていった彼ら。97年の『Eld』のオープニング・ナンバー、「793 (Slaget om Lindisfarne)」は、16分を超える大作に。エンスレイヴドはエクストリーム・メタル、プログレッシヴ・ロック両方のファンから支持を得る存在となっていった。