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ロッパの日記にこの公演の記載があります。
古川ロッパ昭和日記
昭和三十三年
古川緑波
梅田コマ劇場初日。 ガチン/″\と釘を打ち込む音、とても寝てはゐられない。十時起き。風呂は、やめる。PH微在。
朝食、津田・西野も揃って食ふ。生揚げ昆布煮、さいらの生干、生卵二で、又三杯。
インシュリン打。
十一時、小雨の中をコマへ歩く。
楽屋入りして、キューピッドより、コーヒー一。十二時初日開く。入りは、見た目七八分。
「ずぼら亭」、セリフ、いくらもないが、弁士の役だから、入れごともして、兎に角ごま化せた。
「道修町」、何しろセリフに自信あり、気持よくやる。
涙しきりに出る、かなり泣きすぎるが、客もよく泣いてゐた由。
夜の開演は、おくれて六時すぎに開く。
その間、保夫とおばちゃんの持って来た、巻ずしを食ふ。
夜の部、入りの悪いのにおどろく。こゝは昼は団体などでいゝが、夜は常に悪い由。昼の半分位。
今夜は、大道具の関係で、一と二の順序変り、
今やった「道修町」が先きでやりにくし。そんな悪条件ながら、快演。
「ずぼら亭」は、スカの如し。ハネ、十時半近くなる。了って、
今夜は初日のことだ、せめてうまい酒の一杯も飲みたい。
川上正夫を誘って、タクシー、南進、吉田バーへ行く。
何と、十一時が看板で閉ってゐる。
それを開けさせて入り、BWのハイボールダブルを、結局四杯。
ほろ酔で、もう帰る気になり、タクシー、喜多八へ帰る。
十二時半すぎ、アド三。