01.YOU
1stアルバム『パブロ・ハニー』のオープニング・ナンバー。トム・ヨークの鬼気迫るシャウトは、この曲を単にアルバムのリード・トラックだけに留まらせない凄みがある。レディオへッドの激動の歴史をスタートさせる、高らかな号砲として捉えることができる。
02.CREEP
4コードのみのシンプルな構成だが、サビ前の「ガコッ!」のミュート・カッティングたった3つで世界を興奮させた。「だけど俺はクリープ」のフレーズが以降のロック・シーンに与えた影響は計り知れない、ロック史に名を刻む名曲中の名曲。
03.HOW DO YOU?
不自然なくらいのメジャー・コード/8ビートのロック・チューン。ギター・バンド然としたアンサンブルは、当時のレディオヘッドの「若さ」の部分を垣間見ることができる。
04.STOP WHISPERING
不満だらけの日常を叫びたい、でも何を叫んで良いかわからない……そんな心の葛藤を歌う。ゆったりしたメロディからサビへの展開がダイナミックで、思わず引き込まれてしまう。
05.THINKING ABOUT YOU
ギター+ヴォーカルのシンプルな楽曲。彼女への想いが大きすぎて不安が付きまとう、という誰しもが味わったことのある詞の内容が、若者の共感を誘う。トム・ヨークの痛いほどピュアな感情表現が聴きどころ。
06.ANYONE CAN PLAY GUITAR
正統派ギター・ロックだが、カッティングやリフのアイディアに、彼らのあふれんばかりの才能を垣間見ることができる。「ギターを弾くことだけなら誰でもできる。でも問題はギターで何を鳴らすかだ」という戸惑いや抵抗感を歌う、「クリープ」に匹敵する名曲。
07.RIPCORD
ストレートなギター・ロックが中心のラインナップとなっている1stアルバム『パブロ・ハニー』だが、この楽曲もその一つ。詞の内容は「落下傘は開かない あとは墜落を待つばかりだ」と、相変わらずネガティヴだが。
08.VEGETABLE
静かなAメロ後のアレンジの独創性は、当時のレディオヘッドの専売特許だろう。ギリギリではずさないギター・リフとトム・ヨーク切ないほどの叫びともいえる歌声が、曲全体に切なさを醸し出している。
09.PROVE YOURSELF
「生きる証を見せてやれ」というタイトルのみ見ると、ポジティヴなメッセージ・ソングと捉えてしまうが、その後にトム・ヨークは「誰が何のために?」と問いかけている。『パブロ・ハニー』全般に表現されているトム・ヨークの戸惑いや抵抗感は、この曲でも例外なく溢れ出すようだ。
10.I CAN'T
ドラムの力強さが気持ち良い16ビート・ナンバー。「さっき言ったことは忘れてくれ、俺はお前がいないとダメなんだ」と、男のどうしようもない情けなさを歌わせたら、トム・ヨークの右に出るものはいないと実感できる楽曲だ。
11.LURGEE
他者との関係がなくなった時の妙な開放感を歌っている。『パブロ・ハニー』の楽曲の中では珍しくドラマティックな展開は抑えられていて、ゆったりとした時間を感じさせるシンプルなナンバー。
12.BLOW OUT
ボサ・ノヴァ調から始まる曲展開の裏切り度は、『パブロ・ハニー』の曲中でもナンバー・ワンだろう。後半のギターの疾走っぷりは、聴くものに襲いかかるような圧倒的な迫力を感じさせる。