(1997 / CD / D-STYLE RECORDS)
カリフォルニアより、灼熱のソウルを宿す超実力派シンガー ROCHELL が残した唯一作!
耳の肥えたソウル・フリークの間でも長年「高嶺の花」として密かに語り継がれてきた、
まさに知る人ぞ知る90'sインディ・ソウル・シーン屈指のソウル・シンガー。ちょっぴり
ザラついた伸びやかなバリトン~テナーを軸に朝飯前とばかりにファルセットを飛ばし、
STEVIE WONDER 由来のこねくりテクニックも超一級で、ジャズ・スキャットも難なく
こなし、かつ肝心の見せ場では、王道のソウル・シンギングを見事にブチかます。当時の
マイナーどころでも稀に見る卓越したヴォーカル・スキルに筋金入りのソウル・ファンも
相好を崩すこと請け合い。メジャーどころでは、MARCUS COLE (ex. COMMISSIONED)
あたりが一番近いタイプだろうか。また SHERRICK、R. KELLY、REGIS BRANSON (of
JOHNSON & BRANSON) あたりにも通じる魅力を感じさせる。そんな実力者による唯一作
は全編通してブラコン/クワイエット・ストーム色濃厚な内容。愛息による微笑ましすぎる
イントロダクション①に続くは不倫ソングの金字塔 BILLY PAUL「ME AND MRS. JONES」
のカバー②という、子供の教育上とてもよろしくない展開ながら、酸いも甘いも噛み分けた
紳士淑女にはこの背徳感に満ちた不道徳な展開がかえって堪らないかも。終始、アーバン・
メロウなサックスをフィーチャーしつつ序盤はまるで前戯とばかりにスムース&ソフトに、
中盤以降、徐々に熱を帯びるヴォーカルに歌馬鹿の素顔が表れ始める。終盤に差し掛かる前
にはテンションも最高潮。さらに反則ワザ、JODECI「FREEK'N YOU」のブリッジ・パート
「every freek'n night and every freek'n day ~ ♪」の流れをごっそり拝借し、アドリブを交えて
シャウト気味にがなる・こねくると縦横無尽に大暴れするからもう辛抱玉乱。90'sフリークに
とってはまさに値千金の必殺バラッドに仕上がっている。ほかにも②に負けず劣らずの激唱と
語りを交えて愛息への愛を歌いまくる④、高音シンセ飛び交う浮遊感たっぷりの⑦、艶かしく
展開するセクシャル・メロウ⑩、超絶メロウ&ロマンティックに幕を開ける⑬など、とにかく
スロウ群が目白押し。決して多くはないアップ~ミディアム・ナンバーでは、ときにラッパー
をフィーチャーし、ぶっといベースと高音ぴーひゃらシンセを多用した妖しく危険な香り漂う
90年代の西海岸らしいドープなサウンドを聴かせてくれる。⑤などは歌モノ好きのGフリーク
にもアピールできるはず。さながらアーバン・ギャングスタ・ソウルといった感じだろうか。
全編通して超濃厚濃密な内容で、90'sソウル・フリークなら知らぬと一生後悔すること確実!
レアリティは極めて高く、市場には滅多に出回らないが、「90'sインディ・ソウルの最高峰」
と言っても過言ではない!雰囲気先行で歌ぢからが伴わない軟弱なインディ作品とは明らかに
一線を画す本物のソウルを宿した逸品!世界中のソウル “ヴォーカル” フリーク垂涎の秘宝盤!