
ヤマハのブックシェルフ型スピーカー「NS-1 classics」ペアです。
以下の整備を施しています。
・ ウーファーエッジの張替え
・ コンデンサの交換
・ 前面ネットの新構築
・ コネクターユニットの補強
ウーファーのラバー製エッジを張り替えています。(写真3、4枚目)
ディバイディングネットワークのコンデンサをすべて交換しています。(写真7枚目左下)
ツイーターHPF用にはParcAuidio製PPコンデンサ、ウーファーLPF用にはニチコン「DB」電解コンデンサを採用しています。
静電容量はオリジナルと同等です。
前面ネットを新たに作り直しています。(写真2、7右下、9枚目)
フレームは12mmMDFの削りだし。ネットはベージュカラーのジャージネットです。
音の回折低減用に、ドライバー周りと各四辺はR加工してあります。
金属製ダボとゴム製ダボ穴は既存再利用です。
背面のコネクターユニットのポスト固定部を内部から補強し、ケーブル荷重による破損を発生しにくくしています。
また、バインディングポストは、分解し内部まで薬剤で洗浄しています。
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キャビネット外観は、擦り傷は少ないものの、角部のいくつかに打痕があります。(写真8枚目)
また、ウーファーフランジ部、ツイータープレート、バッフルのロゴには、それぞれわずかに白錆があります。(写真5、6枚目下)
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80年代のいわゆる"598戦争"で3ウェイシステムの大型化が進むさなか、ヤマハから突如現れた小型2ウェイシステムが、「NS-1 classics」です。
「10M」や「1000M」などと同じ樺の突板が張られた密閉型の筐体は、クリアウレタン仕上げでより素朴な見た目に。
いっぽう、全ドライバーに内磁型アルニコマグネットの磁気回路を採用、フレームは金属製、オーディオ向けの太いOFCインナーケーブルを引くなど、現代では高級機や限定品でしか見られない豪勢な造りとなっています。
アルニコならではの音離れの良さに加え、密閉型ながら下まで伸びる低音、柔らかく自然な中高音と、どこまでもナチュラルさを追求した音作りとなっています。
整備は、劣化部の復元が主です。
半固形化していたウーファーエッジは張替え。劣化しツイーターからノイズを発していたHPFのコンデンサは、日本のメーカー製フィルムコンデンサーに変更。
良質な国産機です。現代日本で造ったら価格がいくらになるのかわからない、バブル期特有の名機といえます。
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主な定格
・ 2ウェイ2スピーカー/密閉型
・ 寸法:205W x 381.5H x 285D mm
・ 重量:9.5kg
・ インピーダンス:6Ω
・ 再生周波数帯域:60Hz~30kHz
・ 出力音圧Lv:86dB/W/m