日野皓正が "CITY CONNECTION" や "DAYDREAM" でフュージョン寄りの演奏を展開していた時代のど真ん中の時期に録音されています。また、リーダーを務めるのは上記2作にも参加している Dave Liebman だけに、あるいは本作もフュージョン系の演奏が中心になっているのか
と思いきや、非常にストレートアヘッドな硬派のモーダル・ジャズが収録されています。曲目は Liebman のオリジナルが2曲、Scofield
と McClure のオリジナルがそれぞれ1曲、お馴染みのスタンダードナンバーが1曲、そして Liebman の盟友 Richie Beirach 作のバラードが1
曲の計6曲。5の Autumn In New York だけは Liebman のテナーと Scofield のギターによるデュオ(これがフェイド・アウトで終わっている
のは非常に残念)、他の5曲はメンバー全員による演奏。個人的に最も好きなのは、Richie Beirach が書いた"Moontide"。John Abercrombi
e Quartet の "ARCADE" (ECM 1133) 収録の、やはり Beirach が書いた "Neptune" にも通じるテイストを持つ、和声の動きがたまらなく美
しい静かなナンバーです。Beirach 自身はこのセッションに参加しておらず、他の誰かがピアノを弾いているわけでもないのに、演奏が始まっ
た瞬間、リスニングルームはもう Beirach ワールドそのものです。何といってもこの曲が一押しですが、最も熱く血がたぎるのはラストナンバ
ーの "Move On Some"。アップテンポで奏される正統的な4ビートのナンバーで、日野 → Scofield → Liebman の順でソロが回され、3者とも
アウトフレーズをガンガン決めまくっています。何というカッコよさ。しびれます。
1. If They Only New (Liebman)
2. Capistrano (Scofield)
3. Moontide (Richie Beirach)
4. Reunion (McClure)
5. Autumn In New York (V. Duke)
6. Move On Some (Liebman)