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今回は、アメリカ陸軍の対空自走砲「M42ダスター」の1/35スケールキットをご紹介いたします。ミリタリーファンの方、ぜひご検討ください。
商品名
タミヤ 1/35 M42 ダスター 自走高射機関砲(ITEM 35161)未組立 完品(1992年版)
商品説明
本キットは、ベトナム戦争などで活躍したM42ダスターを1/35スケールでリアルに再現したものです。M41軽戦車の車体をベースに、40mm機関砲×2を搭載した砲塔が特徴。砲塔および砲身は可動式で、各部のディテールも丁寧に再現されています。
キット内容
キャタピラについて
柔軟なプラ製のベルト式履帯が2本付属しています。接着剤で固定する形式ですので、取り扱いも比較的容易です。
状態
発送方法
歴史解説(M42ダスターとは)
M42ダスターは、1953年にアメリカ陸軍によって制式採用された自走式対空機関砲です。第二次世界大戦中から活躍した40mmボフォース機関砲を連装で搭載し、軽戦車M41ウォーカーブルドッグの車体に載せることで、高い機動力と火力を両立した画期的な兵器でした。
本来は対空任務用でしたが、実戦ではベトナム戦争において、ジャングルに潜むゲリラへの制圧射撃や、車列の護衛、陣地支援など対地攻撃において圧倒的な火力を発揮。特に砲の連射音と炸裂音は、敵味方問わず「畏怖の象徴」となったと記録されています。
この時代の他国の対空自走砲(例:ソ連ZSU-57-2など)は、火力は強くとも命中率や機動性、整備性に難がありました。それに比べ、M42は火力・可動性・整備性のバランスに優れた“アナログ兵器の完成形”であり、レーダー管制の導入前の自走対空火器としては世界的にも最も実戦的で評価の高い一台です。
その後、電子照準・レーダー制御を備えたZSU-23-4や西独のゲパルトといった次世代車両が登場したことで、M42は時代の表舞台を譲ることになりますが、シンプルで実直な構造ゆえ、長く各国で使用されました。日本の陸上自衛隊にも配備され、「高射機関砲」として演習などで知られた存在です。
湾曲した特徴的な砲盾は、40mm連装砲の可動域と装填性を確保しつつ、最小限の防御力を持たせるための実用設計で、M42ならではのシルエットを形作っています。
ひとこと【火力に宿る存在感】
このキットは1992年に発売されたロングセラー商品で、タミヤらしい堅実な設計と組みやすさが際立ちます。中でも特筆すべきは、やはり連装された40mmボフォース機関砲の再現度。砲身、装填部、俯仰機構に至るまで、当時としては非常に精密で、見る者に「対空火力の迫力とはこういうものか」と語りかけてくるようです。
この40mm機関砲は、第二次世界大戦以来の名砲として世界中で使用され続けた実戦の王道。M42ではこれを二門連装とし、地上に向ければ制圧火力の嵐を生む“歩兵泣かせ”の砲塔に。模型でもその重量感がしっかりと伝わってきます。
防盾の独特な丸みのある形状も見逃せません。これは砲の可動を妨げず、限られたスペースで機能を最大限に引き出すための合理的な設計で、キットでもしっかりと形状が再現されています。
さらに、付属の「冬季迷彩パターン塗装ガイド」も魅力の一つ。白とオリーブドラブが織りなす欧州戦線風の塗装は、静と動が同居するような情景を生み出し、展示モデルとしても映えます。
AFVファンはもちろん、火砲に魅せられる方にも強くおすすめしたい一品。もしあなたのコレクション棚に、まだ“この40mm連装砲の迫力”がなければ、この機会にぜひご検討ください。
なお本キットが登場した1992年は、ソ連崩壊と湾岸戦争の影響により、世界が「冷戦の終焉」と「新たな紛争構造」に直面した年でもありました。そうした中でタミヤは、AFVシリーズの拡充を進める戦略の一環として、M42ダスターを投入。戦車ではない“自走対空火力”というニッチを埋めることで、戦後アメリカ軍の車両系譜を模型史上でも再構成しようとした試みでもありました。
このキットは、単なる兵器の再現を超え、**時代の節目に生まれた「歴史へのオマージュ」**でもあるのです。