26.3×18.7㎝
漢文訓読スタイル。訓読部分は「片仮名」で記され、訓読特有の「」などの記号が使われている。
凡例 1丁表~2丁表
東郭先生醫則 3丁表~4丁表
蕉窓雑話初編 東郭和田先生燕語 門人筆記 1丁表~37丁裏
附方(処方箋?) 38丁表~41丁裏
【内容】
・凡例に続いて「東郭先生醫則」は
右醫則八條、――略――以簡而要、取先生遺稿中、掲干巻首、以示同志。
とあるように、先生の遺稿を八つの項目にまとめて、同志(同門)に示すもの、としている。
・「東郭和田先生燕語」は本論。一ヶ所だけ「按スルニ」という筆記者の補足が入っている。
全体的に、改行してある部分が「内容」。
最初は何故か「宋画の鶴」が出てくる。その絵と飛鳥井家が飼っている鶴を比べてみると・・・・・と、身近な例を出して、「診る」事の意味を説いている。以下、具体例(患者)を出しながら、心を空にして、患者をよく見、その訴えをよく聞き、体に触れて、肌の色、状態などを見極めて、判断を下すようにと、事細かに説明している。
逸話めいた話だが、「昔シ備前ノ國某ナル士代々鎗ノ家ナリシニ或時」で始まる一文(4丁表)がある。甚だ愚鈍な息子が生まれて、主家への日常の勤めはできなかったが、鎗術の技は先祖の誰をも抜いていた。で、彼は厠に籠もって、なかなか出てこない。何時間経っても出てこない。心配して中を覗いてみると、彼は二本の箸を持って、鎗術の工夫をしていた。それが上手くいったときは清々しい表情で出てくるが、そうで無いときは・・・・。藝の達人はそういう風に自分磨きをするものだと締めくくっているが、現代医学から見れば、精神障害の一つだとも思われる。(そういう観点で東郭先生は見ているようである)
【参考】購入先からの説明
前略――本文の中には精神障害に関する記載が相当多く見られ、東郭の精神病に対する考え及び治療法が如何なるものであったかを知ることが出来る。精神障害の記載は大部分精神神経症・ヒステリーなどに相当すると思われる病(肝疾)であり、一部は狭義精神病である。これらの記載にみられる東郭の精神病理論は現代の精神病学と比較して、勿論その考え方の表現が素朴であり、中には理解し得ない点もあるが、大部分は現代に通じるものが多い。
【刊記等】早稲田大学図書館蔵本に依る【画像10参照】
文政紀元戌寅(元 1818)冬至日
近江 服部侃謙謹呈撰
【因みに】出品本は、手書き風の序が欠けている以外、早稲田大学図書館蔵本と同じもの。【画像10参照】
※糸切れあり。
※経年による紙の劣化、変色、染み、虫喰い多数あり。
※梱包材の再利用に努めています。ご理解下さい。