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文春の流儀　　木俣正剛

『週刊文春』や『文藝春秋』の元編集長が経験した事件や出会った人々を綴る。「文春砲」の原点から、数々のスクープ、そしていくつもの失敗……。政治家、文豪、ジャーナリスト、経営者、タレント、元軍人、そして無数の現場……。好奇心を武器に足を運び、手を動かして生まれた仕事の数々！　そして取材の光と影や、芥川賞・直木賞の舞台裏、昭和史を彩った出来事などを通して、マスコミの役割も垣間見える。そこからはマスコミの役割も見えてくるだろう。


第１章　スクープにいたる道
第２章　取材の光と影
第３章　売れるのは家族
第４章　文学賞という事件
第５章　まだ「文豪」がいた時代に
第６章　一枚の名刺で
第７章　私の文春論
第８章　昭和史の裏側
第９章　因果はめぐる
終章　社を去るとき

登場する方々
野中広務　劇団四季　岡田茂　浅利慶太
塩野七生　宮城谷昌光　本田宗一郎　盛田昭夫
二階俊博　古賀誠　阿川佐和子　梨元勝　
小泉純一郎　林真理子　司馬遼太郎　藤沢周平
大江健三郎　宮部みゆき　山崎豊子　石原慎太郎
松本清張伝説　池井戸潤　泉鏡花　永井荷風
菊池寛　江藤淳　宮崎駿　鈴木敏夫　村上春樹
吉本ばなな　田中慎弥　イチロー　中田英寿
又吉直樹　野村沙知代　野村克也　長嶋茂雄
長嶋一茂　田中真紀子　貴花田　若花田
河野景子　宮沢りえ　小和田雅子　横田滋
土井たか子　オウム真理教　上祐史浩　江川紹子
亀田興毅　具志堅用高　前田敦子　佐藤健
林真須美　酒鬼薔薇聖斗　三浦和義　江角マキコ
舟橋聖一　村上龍　佐藤春夫　太宰治　西村賢太
羽田圭介　羽生結弦　佐藤栄作　五島昇　森英恵
平岩外四　高畑勲　落合博満　江本孟紀　森喜朗
安倍晋三　阿川弘之　立花隆　瀬島龍三　和田誠
野坂参三　山本五十六　藤圭子　宇多田ヒカル
木村拓哉　高倉健ほか多数


レビューより
和歌山毒物カレー事件、オウム真理教事件などの事件に対する報道から、松本清張、石原慎太郎、司馬遼太郎などの文豪たちの面白い裏話など幅広く収録されている。
これらを読んだ上で、最後の文藝春秋社内の問題は読んでいて悲しくなった。


とても面白い。そして、こんなに暴露してくれるなんて、ありがたい。マルコポーロ事件とか懐かしいです。まだ、セキュリティやらハラスメントが意識されていなかった頃の時代の仕事のやり方が、衝撃的です。優秀な社員とそうじゃない社員が、どんなものかも本書が教えてくれます。


文春時代に放った文春砲の自慢話が書かれているのではありません。「あの大事件」の裏話、記者や作家の人柄が伺えるエピソードは大変興味深いのですが、それだけにとどまりません。貫くのは「人への興味」と編集者の矜恃。不見識な寄稿記事やコメンテーターばかりが目立ち、オピニオンリーダー不在の昨今です。ふわりと軽やかでユーモアのある語り口ながら、示唆に富む話の数々が心に沁みました。知性とは葛藤なのでしょう。
長引くコロナ禍、日本を率いる各界のおじさん達の摩訶不思議な言動にすっかりささくれ立っていたのですが、内臓にじんわりと滲み入るような読後感です。