まえがき
近時、コンピュータ技術の発展はまさに止まる所を知らない勢いというべきである。コンピュータ関連機器を利用していないオフィスはむしろ少数派となり、学校教育においてもコンピュータ教育の必修化が予定され、家庭にもさまざまな形でコンピュータが浸透している。
高度情報化の一つの理想とする所は、利用者が情報機器を意識しなくなる段階であろうと思われる。そのような段階に至れば用語辞典のあり方も変わってくるであろうが、現在は未だ情報機器およびその利用技術の時代であり、それらの技術に対する一般の理解を深め、さらに技術の発展の基とするためにも。この分野における用語辞典の編纂は意義あるものと考える。
本辞典は、コンピュータ関連分野、および通信関連の内コンピュータに密接な関係をもつ分野を対象として、広汎に用語を収集し、重要な用語については解説を付し、また読解、翻訳等の便のために用例および文例を一次資料から採集して付した。
この分野の技術は西欧(特に米国)由来のものであるが故に、また進歩が急速であるが故に、いわゆるカタカナ言語が多用され、あるいは英字の略語のままで日本語中で使用されるなど、こなれた日本語とは云い難い面もあるが、現状を反映する意味で、無理に和語と英語を対応付けるといった試みはしていない。
また、JISの情報処理用語については、図表を除いてすべて引用収録し、標準的な用語法を知る助けとした。
用語間の関連については、同義関係、反義関係および関連の高い用語を中心として参照を付したが4,必ずしも十全とはいえない。それを補う意味で、単語または熟語からその語を含む熟語への参照を「参考語」として付した。
日本語ならびに英語の表記については、同一内容を表わすのに様々な表記法が存在するが、なるべくJISその他の標準的な表記法に準拠する形での統一は行った。しかし用語の厳格な統制をするのは本辞典の目的とする所ではない。
この分野はまさに秒進分歩の正解であり、新語も次々に登場する。用語の宿命として常に後追いではあるが、追加訂正作業は将来にわたって継続していく。
姉妹編「英和コンピュータ用語大辞典」と合わせて、コンピュータ関連分野の事業者、利用者、学習者ならびに翻訳者等の方々に本辞典を大いに活用して頂き、以て斬界の発展の一助ともなれば望外の幸である。
1989年3月
コンピュータ用語辞典編集員会
編集代表 喜多村政美
越川哲夫
1991年11月第1版第3刷。箱付。箱に破れ、表紙にスレがあります。本文に書込みはありません。
ISBN-10 : 4816908307