平成16年(2004)に、小学館から出版された名城を
ゆくシリーズ5号「小田原城」(3月9日号・定価560円)
である。全ページ・カラーグラビア仕立てとなっている。城
の規模、縄張り、築城秘話、ゆかりの武将の物語などのさま
ざまな内容は、貼付写真の具体的な目次の詳細から御想像し
て下さい。
応仁の乱(1467年)から約25年後、北条早雲が伊豆
を侵略したのが戦国時代の幕開けといわれている。形骸化し
た室町幕府には、地方の荘園(領地)からの年貢米も京へ届
かなくなり、やがて下剋上の嵐は伝染病のように天下に吹き
荒れた。それのちに、ある意味で、後北条氏五代と小田原城
は、まさに戦国時代そのものであった。 北条の強さは、親族
と配下の武将・家臣などの団結力だ。また、領民も四公六民
という軽い年貢負担を支持した。平将門を成敗した、藤原秀
郷の末裔の小山一族をはじめ、水攻めに屈しなかった忍城の
成田氏など、最期まで北条氏を裏切らす豊臣秀吉軍と戦った
益荒男の逸話には事欠かない。
後北条初代・伊勢新九郎長氏(のちの早雲)は、一代で戦
国大名にのしあがった。今川氏にも恩を売り、伊豆を根城に、
相模の名門三浦氏を滅ぼした。二代氏綱は、領地を関東全域
に拡大させた。国府台合戦では、南総の里見氏を謀略で難攻
不落の城を攻め滅ぼした。北条五代の礎を築いた最大の功労
者である。三代氏康は、山内上杉氏や扇上杉氏、古賀公方家
など旧勢力と果敢に戦いを挑んだ猛将である。また、甲斐・
武田信玄と同盟を結び、上杉謙信の度重な遠征をはねのけた。
小田原城を拠点とした武蔵・相模一円の城砦防衛ラインを確
立した。四代氏政は、領国経営でも卓越した手腕を発揮した。
本来、五公五民や六公四民など農民の取り分が少ない時勢に
〝四公六民〟の善政を敷いた。小田原城の守りは鉄壁だが、
豊臣秀吉の物量作戦の前には、ジリ貧となりなす術がなかっ
た。その挙げ句、まんまと北条家の家臣は切り崩された。五
代氏直は、若くして病死した。本書は北条五代とその居城の
小田原城の進化と興亡史をよくまとめている。
【本書のおもな登場人物】
●北条早雲 ●北条氏綱 ●北条氏康 ●北条氏政
●北条氏直 ●北条氏邦 ●武田信玄 ●上杉謙信
●三浦義同 ●豊臣秀吉 ●徳川家康 ●黄梅院
【城と城下町・周辺城砦紹介】
●山中城 ●滝山城 ●小机城 ●興国寺城
●玉縄城 ●岡崎城 ●新井城 ●八王子城
●鷹ノ巣城●大庭城 ●今井陣場
【事件史・史跡・その他
】
●秀吉の小田原攻め ●小田原大地震 ●早雲寺
●箱根関所 ●報徳二宮神社 ●『のぼうの城』
本の状態は、個人所蔵の「美本」である。あまりに神経質な
方は御遠慮して下さい。発送はゆうパケットで210円です。