平成15年(2003)に、歴研から出版された『歴史研究』
特集は「鎖国と開国の謎」である。目次は、下記のとおりで
ある。
【特集記事】
●「鎖国と開国は為政者の懸命な選択だった」(横山忠弘)
●「攘夷はいつ開国へ変わったのか」(萱嶋完彦)
●「驚異的な平和の持続」(加藤 昇)
●「ロシア外交を阻んだ神風の正体」(岡田文雄)
●「鎖国と琉球」(江蔵一成)
●「(佐久間)象山砲術試演記念の日」(花岡脩三)
●「二人の漂流民の運命は」(松尾卓次)
●「開国の陰に泣いた唐人お吉」(窪田 孟)
●「鎖国と海禁」(境 淳伍)
●「鎖国を続けさせた布教侵略の脅威」(中名生正己)
【特集以外の記事】
●「駿河移住幕臣の研究」(宮代輝之)
●「後南朝の義臣・新田相模守義則正伝」(木村信孝)
●「播磨国には明石が二つあった」(梅村伸雄)
●「自著を語る『菅原道真の実像』」(所 功)
●「百年国債と百年大計」(藤井滋生)、他。
【蛇足・本号への御託】
「鎖国」「開国」、そのいずれも、国政にとってはのっぴき
ならない問題が横たわっている。内的には、江戸幕府鎖国令
は、徳川の封建体制を維持するために、キリシタンの自由・
平等・博愛思想を危険視し、帰依した多くの百姓を徹底的に
弾圧したものと言える。そのツケは、島原の乱という手痛い
大騒動巻き起こし、幕府も相当なダメージを受けた。
鎖国により、外交や貿易は、長崎の出島でオランダのみと
なった。日本は医学や船造り、兵器の進歩など全般的に遅れ
る運命を辿った。その一方、元禄文化や文政文政など、世界
に誇れる芸術や芸能など爛熟した文化を成し遂げた。
時は流れて幕末、ペリー率いる黒船来航により「攘夷」か
「開国」かという国内を二分する対立を生んだ。大老・井伊
直弼は、安政の大獄で開国反対派の大名や家臣、学者を
死罪や蟄居謹慎などの厳罰に処した。安政の大獄である。
その反動が、桜田門外や天誅の嵐(テロ)となり、本書で
も所収されている佐久間象山は、犠牲者の代表的人物で
ある。また、開国は幕末のコレラ騒動のように、疫病による
犠牲者を大量に出した・・・。
【本の状態と発送について】
今から21年前のものだか、本の状態は新品同様レベ
ルの「美品」である。二冊購入したうちの保存(予備)用の
ものなので申し分ない。発送はネコポスかゆうパケットの
どちらかです。