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戦国武将宇喜多直家所持『備前国長船次郎左衛門尉勝光 永正八年二月吉日』藤代義雄鑑定書 注文打の傑作 倶利伽羅彫あり 本阿弥日洲鞘書


勝光は室町後期の末備前を代表する鍛冶の一人です。中でも右京亮や次郎左衛門が
よく知られています。他の末備前諸工と同様に複式互の目を得意と
していますが、勝光は丁子が目立ちより一段と華やかな作風を見せて
いるのが特徴とされています。また刀身彫刻の名手としても高い評価を得ています。
その作風は称揚されており古来より与三左衛門祐定などと並び立つ名人と評されています。
この刀は鎬造、庵棟、身幅広く、元先の幅差があまり目立たず、重ね厚く、
反り尋常につき、切先は中切先が延びています。注文打ちならではの
重厚にて気品もある見事な造り込みをしていると思います。
鍛えは総じて小板目肌がよくつんで、地沸が細かについて、映りが現れ、
美しい鍛えになっていると思います。刃文は丁子に互の目が交じった
華やかな互の目丁子を焼き上げて、匂勝ちに小沸がついて、足や葉がよく
入って、砂流しかかり、これぞ備前伝丁子刃という事を体現した刃文を
焼き上げていると思います。帽子は少し乱れ込んで返っています。
表裏上半に棒樋があります。表に倶利伽羅龍、裏に八幡大菩薩の彫物が
あります。茎はうぶで俗名入りの長銘で永正八年の裏年紀があります。
戦国武将「宇喜多直家」が所持したという逸品です。宇喜多直家は浦上氏の家臣で
したがその知略を活かして暗殺などの謀略を用いて勢力を伸ばして頭角を現します。浦上家から独立後は
毛利家と同盟を結びます。織田家が中国攻めを開始すると毛利から離反し織田家へ
移ります。天正九年末頃に岡山城で没しています。子の秀家は豊臣政権では
五大老の一人となっています。鑑定書は昭和初期に活躍した鑑定家であった藤代義雄です。
鞘書は刀剣研磨部門の人間国宝であり、刀剣鑑定家でもあった本阿弥日洲です。
備前伝、備前物を収集していたコレクター放出品です。末備前を代表する
素晴らしい名刀であると思います。

長さ/62.8cm　反り/1.4cm
元幅/31.8mm 元重/8.2mm 先幅/23.0mm 先重/6.2mm　刀身のみの重量695g
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